川崎フォトエッセイ  その76  キャベツ畑    ←前 次→  HOME


 キャベツは八百屋やスーパーで売っている。これは商品である。その商品になる前のキャベツに遭遇すると、楽屋裏を見たような気分になる。

 この種の経済的な視点からしかものが見えなくなるのは寂しいかぎりだ。

 子供の頃は、キャベツ畑を見ても、そんなことは思わなかった。葉にいるモンシロチョウのサナギを発見して、これが、目の前を飛んでいる蝶々になるのかと、それなりに自然と親しんでいたように思う。

「キャベツ畑など作って儲かるのだろうか」などと、心配しながら、今は見ている。大人になると視野が広くなるわりには、考えがみみっちくなる。自分との関係で、ものを見てしまうようだ。

 あるものに対して、直接触れに行くのではなく、ワンクッション置いてから行動するようだ。

 人が作ったものには、作った背景があるため、その背景が気になるようだ。