川崎フォトエッセイ  その106  名所    ←前 次→  HOME


 どんな街にでも、探せば名所旧跡がある。ところが山を削った造成地や、埋め立て地からは、名所は生まれても、旧跡を発見するのは難しい。
 旧跡としての建物や、建物跡は、歴史上の人物との絡みがあってこそ、立体感が出る。たとえば、その場所に坂本龍馬が住んでいたとかだ。
 竜馬の亀山社中は長崎の坂の上にある。その坂道を竜馬が歩いたことは確実だ。もちろん景観は百年以上前とは違っていてあたりまえだ。しかしその坂道は昔もあったはずだ。
 今はブロック塀に囲まれた小道でも。当時を思いながら歩けば、伝わってくるものがある。
 それを演出しているのは、立て看板だ。それがなければ、ただの狭い坂道でしかない。その上に亀山社中跡があることも知らないまま終わるだろう。
 知らない街に行くと、いきなりこの種の有名人に出くわす。誰と出会うのかが分からないところが面白い。