川崎フォトエッセイ  その119      ←前 次→  HOME


 ニョキッと、脚が突き出ている。場所が商店街の婦人服売場なら問題はない。この場合の問題とは、殺人事件とかである。

 たまに場違いなオブジェが置かれていることがある。たいがいは偶然に放置されていたり、片付けるのを忘れているケースが多い。作為的に妙なものを飾る人もいるが、意外とその場合は意外性がない。やはり偶然に優るものはない。

 偶然だけに作為がない。つまり、目的がないため、探ろうとしても見当がつかない。置いた人が何を考えているのかが計算できないため、謎が深まる。

 あるものを見て、本来の目的以外のことを考えてしまうのは仕方のないことだ。邪推や妄想は、楽しんでいるときは問題はない。「もしかして」の可能性が全く入り込まないような場合、安心して雑念に浸れる。

「もしかして」の可能性が少しでもあると、現実味を帯びるため、取り扱い方を間違えると、のんきな観察者ではいられなくなる。