川崎フォトエッセイ  その121  明暗    ←前 次→  HOME


 人は立つ場所によって明るく見えたり暗く見えたりする。本人に変化はなくとも、見る側の位置で見られ方も違うのだ。

 人と場所が織りなす不思議な印象だが、普通はその条件を差し引いて見ている。そのため暗い場所を歩いている人は、暗い人だとは考えない。

 ある人に対しては、暗い面を強調して見せたがることがある。それは明るくあってはいけないような場合で、暗いめのほうが関係が安定するのではないかと、調整するからである。また、相手の輝度で、そうならざるをえないときもある。

 輝度は、見る側の露出計の問題も加わる。つまり観察者の測り方で意志が加わってしまうのだ。その意味で明るい暗いは相対的かといえば、そうではなく、露出計の針の振れに翻弄されながらも言い得ていることがあるようだ。それは、生き物としてのベース箇所での話かもしれないが……。