川崎フォトエッセイ  その122  通行人    ←前 次→  HOME


 通行人を見ていると、人の数だけ意志があるため、人いきれで疲れそうだ。

 単なる通行人の場合、別にコミュニケーションをするわけではない。話すようなネタもないだろうし、そういう場でもない。そのため黙々と歩いている。

 その場合、歩行する動物として、ぶつからないように歩くだけだ。それでも人間としての意志のある人達(笑)なので、漠然と歩いているわけではないはずだ。視界に入ってくる人物の値踏みをしたり、相手が異性ならそれなりに観察するだろう。

 真正面からの直視は控えるにしても、それなりの視線が飛び交っているのは確かだ。人はやはり人に興味を抱く。しかし、通行人どうしは、言葉を交わすことは、まずない。

 誰もが通行人ABであり、自分のドラマの主人公でもある。全員が主人公のドラマは成立しないので、全員通行人になっているのかもしれない。