川崎フォトエッセイ  その143  人形    ←前 次→  HOME


 人の形をした人形は、人形だと分かっていても、人格を与えてしまうようだ。いや、むしろ、人格だけを形にしたようなモデルなのかもしれない。

 公園で、自転車の乗り方を教えている親子の人形を発見した。遠くから見ると、本物のように見えた。それが人形だと分かったとき、薄気味悪さを覚えた。蝋人形館にあるような独自な悪趣味な世界を連想したからだ。

 人型は、魂が乗り移りそうで怖い。もちろん、その種の霊魂が入っているとは、文部省認定の教科書には書かれていない。

 心霊現象のそれではなく、作家や職人の魂が籠もっていそうなオブジェは、気持ちが重くなる。魂が込められているのはいいことだが、そのときの魂は、心霊現象の霊と、どのように区別するのだろうか。

 作り手側の、ものを作るときの丁寧な気持ちを、作家の魂とすれば、これは別に心霊現象とか関係がない。ただの気持ちの入れ方の問題だろう。