日差しが強すぎると、日陰が真っ黒くなる。黒くなっているが闇ではない。だが昼間でも、闇を作ってしまうのである。
この場合の闇は、あまりにも明るいものの存在により発生する闇で、光り輝くものが去れば、普通の明るい場所になる。
普通の明るさとは、日常生活を普通に過ごせる明るさである。照明器具がなければ昼間の地下街や地下鉄は暗闇になるので、普通の明るさではない場所で過ごしていることになるのだが、停電事故でも起こらないかぎり、普通の空間として過ごしている。
トラブルが起こってはじめて「とんでもない場所にいた」と認識する場合がある。それほど僕らの生活空間は、際どい面があるということだ。
そんなことを考えていると、飛行機にも電車にも乗れなくなる。際どさを感じていても、事故の頻度を考慮すれば、死を覚悟して利用するようなものではないことがわかる。このわかり方を疑いだすと、動けなくなる。