川崎フォトエッセイ  その169  部品取り    ←前 次→  HOME


 ヘミングウェイの「老人と海」で、せっかく釣った巨大魚なのに、港に戻ると骨だけになってしまう小説がある。放置バイクの末路がそれに似ている。
 誰がいつ盗みに来るのか、部品の一つ一つが、徐々に抜き取られ、数日後には骨格だけを残したバイクとなる。
 盗み取った部品を自分のバイクに取り付ける人もいるかもしれないが、それなりの知識が必要だし、技術もいる。
 まあ、スクラップになる運命なのだから、部品が「生きて」いる間に、取りだそうとする気持ちは分かるが、その種の行為をする人は、マニアだと思う。改造や修理が好きな人なのだ。
「○○通りにバイクを止めておいたら一夜で解体されてしまう」とかの、冗談半分の噂がある。きっとマニアが多い通りなのだ。
 バイクの部品取りは、人体の臓器移植を連想させる。