旅行に出ると、いつものシステムとは違う領域に入る。街の規模や地理、風土が異なれば違ったシステムになることは分かりきった話だが、どこかに「いつもの」という頭が働き「ここは妙な場所だ」と、感じてしまう。もちろん、そこに住む人たちは、慣れた場所であり、違和感も少ないのだろう。
ある街では交通機関がバス中心なら、バスターミナルが慣れた場所になるし、フェリーや高速艇がメインなら波止場が慣れた場所になる。
慣れるということは恐ろしいことで、いつの間にか、そのローカルな事情が基準となって、頭に入り込んでしまう。後天的に獲得された環境的な「慣れ」は、自分が選択して決めたわけではないのだが、知らない間にある種の感覚が常駐してしまう。
習慣は恐ろしい。毎日の積み重ねが、つもり積もってシステム化され、そこからの視線でものを見てしまいそうになる。