川崎フォトエッセイ  その206  茶色い歩道    ←前 →次  HOME

 茶色い色に舗装された歩道がある。これは土の色をイメージして、この色が選ばれたのだろうか。しかしこの茶色は、濃すぎる。

 この土地の実際の地肌の色は何色だったのかは、ほとんどの人が忘れている。田畑だった頃の土の色は、掘り起こさないと確認できない。

 僕らが体感できる街の守備範囲は狭い。そのわずかな範囲内でも、景観は何度も塗り替えられている。そのため、歩道の色が茶色になっていても、別に驚かない。十何年か前、この場所には道路さえなかったのだ。

 突貫工事で、無茶な道路工事をやっていた頃に比べると、最近の道路は、多少余裕が出てきた。車道と歩道が分けられ、境目は植林され、並木道となっている。十年も経過すると、桜並木などは、下手な花見の名所よりも、見応えがある。近所で花見ができるのだ。

 何となくだまされているような気もするが、それなりの努力は感じられる。