川崎フォトエッセイ  その213  地味    ←前 →次  HOME

 ずっと同じスタイルを維持していくと、当然それは目に馴染んできて、見慣れた風景となる。最近のように、テンポの速い時代だと、同じスタイルを守り続けるほうが困難なほどだ。しかし中身は大昔からあるような機能を引き継いでいるだけである。

 うわべのスタイルが代われば、新鮮に見える。まるで別物のように見える。それは一時の錯覚で、そのスタイルが風化することで、色あせてくる。その意味で、スタイルを変えないほうが、刺激を与えなくていいのかもしれない。

 目を射す刺激物は、魅力的だが、それが風化した時点を想像すると、趣がそがれる。まあ、そこまで先読みするわけではないが、「おまえもすぐに古くなるぞ」と、横から声が聞こえるのだ。

 平凡な日常風景のスタイルは、刺激性に乏しいが、新しいものも、いずれはそこに落ち着くのだったら、最初から古くさいものを作ったほうが、いいのではないかと開き直りたくなる。