川崎フォトエッセイ  その244  黄金色    ←前 →次  HOME

 初秋、日本の平野部で、一番多かった風景は、稲穂のある風景だろう。周囲にそれがなくても、この風景を見ると、懐かしく思ってしまう。産まれてから一度も稲作風景を見たことがない子供でも、先祖代々が見続けているため、どこかに記憶が引き継がれているのかもしれない。

 秋の祭りは、収穫を祝う祭りがメインで、それ以外の祭りは、どこか腰が落ち着かない。同じことが、漁村風景にも言えるだろう。

 仕事の成果が、もろに稲作の場合出てしまう。そして見えてしまう。刈り取った稲は「米」として、合理的な食料になる。昔の侍が給料が米だったことを思うと、米はもろにお金だということになる。

 その意味合いから、実った稲穂は黄金色に見えるのだ。そのため、その風景は非常に充実して見える。

 僕らはこの種のダイレクトな生産や生活から、離れすぎたようだ。