川崎フォトエッセイ  その257  ある角度    ←前 →次  HOME

 殺伐とした場所でも、見る角度が異なると、アートな風景になる。まあ、そんなのんきなことを、このリアルな現実の中で、体験することはまれだし、また、その余裕すらないかもしれないが、世の中は角度によって景観が変わってしまう面白さがある。

 妙な位置からものを見る場合、その位置に立たないといけない。しかしその位置へは、普段はあまり行かない。見知った街角でも、あらゆる角度から眺めているわけではない。ところが、待ち合わせとかをしていて、相手が来ないときなど、あまり立ったことのない場所を踏むことがある。そんなとき、別な側面が見えたりする。

 待ち合わせの場合の視点は、メインである相手の姿で、その背景ではない。ところが、探しているのは相手だが、見ているのは相手が来る方角だ。その方角には、何かが映っているはずで、たいがいは街角風景や、人の流れである。そんなとき、普段気づかなかった看板や、建物とかを発見する。