川崎フォトエッセイ  その266  拡大文字    ←前 →次  HOME


 大きな文字を、近くで見ると、それはもう文字ではなく、図になってしまう。幅の広い線がわけもなく走っているような感じだ。ナスカの地上絵のように、上空から見ないと、意味が分からないのと似ている。そして近くに小高い場所とかがなければ、何の絵なのかは分からない。

 文字は少々わかりにくい筆跡でも、何とか読むことができる。その原型となる漢字やかながあるはずで、それに戻して読みとるからだ。もっとも元の漢字とかを知らない場合は、それもできないが。

 普段見慣れているものでも、拡大しすぎると、部分に意味が発生してしまう。部分は、その全体の構成要素だが、そこだけ切り取ると、全体とは違う方法へ行ってしまう。

 このあたりは、程々の大きさや距離があって、それを僕は日常的な視点と思っている。日常からかけ離れた視点は、その落差は面白いのだが、毎日食べるわけにはいかない。