川崎フォトエッセイ  その301  初めての街    ←前 →次  HOME

 初めての街に降り立ち、その景色を見たとき、ありふれていない箇所に目がいく。他の街と、その街との違いが、それほどない場合、無視してしまう。それはもう知っているものとして、あまり惹きつけないし、注目もしないためだ。

 決してそれは他の街と何から何まで同じだというわけではない。似たような建物が、似たような配置で並び、似たような姿の人が歩いていてる見慣れた風景なのだが、よく見ると、少しずつ違っている。違っていて当然なのだが、その違いに意識的になるほど注目しないのだ。

 その風景と自分との関わりが薄いとなおさらで、視野の中にそれが入っている程度の気構えしかない。

 敵が建物の隅からライフル銃で撃ってくるような場合なら、周囲の建物を見る目つきも違うだろう。  しかし見る側の事情を超えて注目に値する景色もある。文字通り、風景に、ある種の色が付いている場合だ。