川崎フォトエッセイ  その314  ある気配    ←前 →次  HOME

 人は人に興味を持つ。自分のことが気になるように、人のことが気になる。それは別に他人のことを心配したり、思いやりでとかの意味で、気になるのではない。

 特定の人のことが気になる場合もあれば、無関係な人のことも気になる。これは意識的になるということだ。そのうちそれが無意識的になり、人目が全くない場所でも、人を気にする。

 人の気配がする場所は、それなりに緊張する。意識と意識が交差する。いくら個人の世界で、個人をメインにした生活を送っていたとしても、他人を意識しないで生きられない。孤立した人間でも、それは同じだ。  街にも気配がある。その気配は、人の気配でもある。町には人が住んでおり、町は人のものだから。

 僕らは気配を隠して生きていくことはできない。地球の裏側にいる人間さえをも意識して生きている。人は人からは逃げられない。