川崎フォトエッセイ  その316  白黒灰色    ←前 →次  HOME

 白と黒は、言葉ではっきり指し示すことができるが、中間トーンの灰色は、幅が広いため、白に近い灰色もあれば黒に近い灰色もある。確かに黒でも白でもないのが灰色なので、指し示していなわけではないものの、何か曖昧だ。そのニュアンスが「灰色高官」とか「灰色疑惑」とかの言葉を産むのだろう。

 しかし、現実の世界では、純粋な黒や白よりも、圧倒的に灰色のほうが多い。これは言葉では指し示しやすい白黒が、逆に少なく、場合によっては存在しないときもある。

 白や黒は、非常にわかりやすい。むしろ現実よりも、言葉上のほうがわかりやすい。白と黒は両極端で、そのため差がはっきりしているため、並べるとコントラストが明快で、視認性が非常にいい。

 コントラスト比が高いと、お互いを強調し合うことになる。絵に書いたような現実、写真で写し取ったような現実は、現実よりも現実らしいが、現実の面白さは、その幅の中では収まらないため、現実の豊かさには作品はかなわない。