川崎フォトエッセイ  その324  無関係な関係    ←前 →次  HOME

 同じ人の後ろ姿でも、あぜ道を歩いているのと、都心部とでは、違って見える。同じ街中でも、和風料亭で座っている人と、フランスレストランでも、違ってくる。

 人がそのように背景によって、別人物のような印象を受けるのは、背景との関係を、見る側が繋いでいるためだろう。

 そう思われた人は、一生そう思われたままの存在になる。それ以上関係することもない人同士なら、別に問題はない。

 同じ空間内にいても、それ以上接触することのない人々との関係は、文字通り関係のない関係だ。

 無関係な関係は、自分に直接食い込んでくることはないものの、他人一般という捉え方では、関係してくる。それは直接ではないが、世間一般とかの抽象的な意味合いで、視線を投げかけ合っている。僕らが普段関係している人達と、それほど変わらない人々であることも確かだ。