川崎フォトエッセイ  その336  出会い    ←前 →次  HOME

 町内の路地を抜けると、人が行き交う通りに出る。路地を通る人は顔見知りだが、通りの人は不特定多数の人々だ。

 いつも同じ人と会っていると、たまに違う人と会いたくなる。いわゆる新しい出会いである。そして、そこで出会った人とも親しくなると、いつもの人々の中に加わり、日常の中の人々となる。

 そしてまた新たな出会いを求めてしまう。なぜなら、路地の向こう側に通りがあり、人々が行き交っているからだ。

 それを繰り返していると、いつもの人々と疎遠になり、スライド式に押し出されるように、旧知の人が消えていく。またはアクセスしないままの存在になる。

 人の数だけ世界があり、その世界を探訪したくなるのだ。とはいうものの、すべての世界を訪問することはできない。また、一人の人間の持つ世界も深く、探索しきれないだろう。