川崎フォトエッセイ  その345  雑然の場    ←前 →次  HOME

 整然とした佇まいは、きっちりとした暮らしの息吹を感じるよりも、汚してしまうのではないかとの思いのほうが強く感じられる。

 日常とはケガレの場である。外部に対して完全武装で臨んでいるわけではない。非常に油断した場であり、気を抜いた場でもある。よく言えばリラックスできる場でもあるわけだ。

 雑然とした佇まいには、人の雑念と共通するリズムが走っている。雑念とは日常の中で、ふと思うような事柄で、未整理なまま、様々な「思い」が並んでいる。

 雑念は整理し得ない。それは日々起こる現象で、自然に起こってしまうからだ。日常はそのため、雑念が未整理なまま転がっている。

 その、とりとめのなさを不快に思う気持ちもある。しかし、一度整理しても、知らない間に、雑念はたまるものなのだ。