川崎フォトエッセイ  その350  感性の常駐    ←前 →次  HOME

 写真は言葉よりも、ものに対して具体的に伝えることができるのだが、何を伝えようとしているのかがわからない場合が多い。

 つまり、言葉だと主語と述語の関係があり、わかりきっている場合は、省いても意味は通じるが、写真の場合「何について語っているのか」が最初から分からないことがある。

 どちらにしても、本人が感じたことを、言葉であれ写真であれ、それを伝えるのは容易ではない。正確さを追求するのは無理だが、何らかの用途で、おおよその情報だけでも欲しいときは、それでも役に立つ。

 一からすべてを伝えることは不可能だが、その情報が活きる場所で伝えれば、十分意味が生まれる。

 ほとんど実用性がなく、情報価値が低いものでも、情感を刺激してくれる情報がある。これは感性の世界で、その感性を動かしている元になるものが刺激されてアンテナが立つのだろう。

 感性は曖昧だが、感性を起動させているものは、しっかりと常駐している。