川崎フォトエッセイ  その368  小便跡    ←前 →次  HOME

 犬の小便で電柱が倒れた……という話は近所では聞かないが、汚れているのは確かである。

 同じ電柱に、毎日何匹もの犬が、用をたすとなると、公衆便所のようになってしまう。つまり電柱が便器と化する。

 人が作った街は、人だけが住めるようにできている。犬や猫、その他街に住む諸動物の面倒までは、設計図にはない。たとえば、犬が小便をしやすい杭などは、立てようがない。設計で考慮されるとすれば、被害からの防御策だろう。

 街がこざかしく人工的になればなるほど、犬の小便跡が目立ってくる。おおらかな農村なら、それほどではないはずだ。

 僕は犬も猫も飼っていないが、それらがいない街は想像できない。たとえばオフィス街に、犬や猫がいると、逆にほっとする。極端な話だが、地下街を散歩する犬も、見たいものだ。他の動物を見ることによって、自分が人間であることを、再認識させてくれるからだ。