川崎フォトエッセイ  その369  普通でない    ←前 →次  HOME

 いつも縦のものが横になっていたりすると、注目度が高くなる。見慣れたものが見慣れないものになるからだ。

 日常は見慣れたもので構成されている。それが一般には見慣れないものでも、その人の日常範囲内では、見慣れたものになる。

 日常は私的なものだが、普遍的な「私的」を多数含んでいる。ある人にとっての「普通」が別の人にとってはそうではない場合もあるが、それを言い出すと誰にでも当てはまる「普通」など存在しなくなる。洒落ではないが、それが普通なのだ。

 しかし、異なろうが、同じだろうが、頓着なく世の中や人は動いている。そう言う認識をしたからといって、別段何かが変わるわけではないからだ。

 僕らは観察者となったとき、その動きが急にぎこちなくなり、不自然になる。むしろ矛盾をきたしながら、動いている人の方が伸びやかだ。