不自然な自然さもある。それは人工物と自然物が織りなす世界で起こりやすい。
都市近郊の野山や河川は、太古の昔からそのままあるものではなく、人の手が随所に加えられている。その意味で自然の景観というのは、部分的でしかない。
ある景観にマッチさせようと、それに合わせ造られたものは、逆に不自然さがでてしまう。景観を残したいのなら、それ以上何かを付け加えたりしない方がいいのだが、現実はそうはいかないので、できるだけ違和感を感じさせない形にしているようだが、その狙いがすごく不自然に感じるのだ。
むしろ景観を壊すぐらいの建物のほうが、今の時代では違和感がない。
山河が自然の営みで、変化していくように、人工物も人の営みで変化していく。その変化だけを捉えれば、それは一種自然の営みとして把握しやすい。
大自然は「よい自然」だけを営むものではない。