川崎フォトエッセイ  その424 知っている       HOME

 見慣れていないものがあると、注意を惹く。しかし、この感覚は見る側の情報領域と関係してくる。ある人にとってはそれは単なるオートバイであったとしても、マニアックな人にとっては目を惹く物体となる。

 パソコンやカメラも、概念としては知っていても、その下の階層である機種や機能的な特徴などにまで分け入ると、とたんに未知なる世界に入ってしまう。そのレベルでもかろうじて知っているのは「名前」である。だが名前を知っているからと言って、その対象を普通に知っているわけではないのだ。

 その実体に対しての知識はなくても、その実体を指す言葉を知っていると、少なくてもそういう領域があることぐらいは認識していることになる。つまり「聞いたことはある」というレベルだ。

 同じ言葉を使っていても、その中が空っぽの場合とつまっている場合がある。言葉で知っているのか、実体を理解して知っているのかの差は、話してみなければわからない。