川崎フォトエッセイ  その429 線をひく       HOME

 線は抽象的なもので、具体的な形として存在しているわけではない。ただ、線的な感じとしてはある。それは面も同じで、平らな面として見えている。面的なものの中に線的なものが走っていると、それを線だと言い切りやすい。生活上では「線」や「面」は、それほど厳密なものではない。

 何らかの線が、そこを走っていると思えるのは、ある点からある点までを繋いでいるものがあるからで、それは概念であったり、具体的なレールや道路であったりする。

 概念上の線は、精神的な意味での繋がりや関係までを指すことになる。そこにはレールのように具体的な線的形は存在するわけではない。

 線を繋いだりひいたりすることは抽象作業だが、線に意味があるのではなく、繋がりに意味がある。線を見いだすことによって、関係や状況がわかりやすくなる。ただそれは現実のある一面を言い表しているだけである。