川崎フォトエッセイ  その436 動物的反応       HOME

 いくら大人しい犬でも、それは飼い主だけが知っていることで、散歩中に出会う人々は、その犬の性格まではわからない。従って飼い主が鎖や紐をはずして、犬を散歩させるのは過信である。

 同じ犬でも、迫力のないお座敷犬と、大人の体重に近い大型犬がいる。「犬が寄ってくる」という意味は同じだが、感じ方は全く違う。それは、人間でも同じで、見かけのすごい人が寄ってくると、やはり警戒しないわけにはいかない。

 この場合の警戒は、非常に動物的な反応に近いもので、理性やコミュニケーション以前の問題が横たわっている。このバリアは、人の場合には話すことで、犬なら触れ合うことで溶けてしまうのだが、第一印象はそうはいかない。

 人間の持つ動物的レベルでの本能は反応として生理的に出てしまう。インプットされた情報ではなく、または文化でもなく、動物的情緒は知らないところで作動しているように思える。