川崎フォトエッセイ  その492  謎の物体      HOME

 倒された状態でずっと置かれていると、そのものの形が最初からそうだったのではないかと思ってしまう。

 そのものの正しい姿ではなく、何かの都合で正しくない置かれた方をすることがある。そして、ずっとその状態なら、見る人もそれが馴染みになり、元の置かれ方に戻ると、逆に違和感を覚えさせる。

 どうにもならない頑強なものが日常の中に横たわっている。取り除こうにも他に持っていき場所がなかったり、壊すには惜しい、または壊してはいけないとかの理由がある。

 それがもう過去の遺物であったとしても、撤去することでバランスを壊してしまうのではないかという恐れもある。

 日常の中には、その種の「謎の物体」が含まれており、そのリスクを背負いながら生きている。それは物体を超越して、シンボル化されているからだ。