川崎フォトエッセイ  その505  文化的自然      HOME

 人の気配は、人が日常的に使う機能的な物を見ることで感じることがある。それがごくありふれた日常的な物であるほど、気配も自然である。

 日常からかなり切り離された場所でも、そこに人がいる限り、どこかに普通の物が置かれている。たとえば見たことのない機械室でも、灰皿がちょこんと置かれていたりすると、人の気配を感じる。

 ありふれた既製の物を廃した場所でも、完璧には廃しきれない。逆に普通の物を見るとほっとするし、それが目立ったりする。

 人はその他の動物と違い、不自然な環境の中で暮らしている。それでも文化的な自然さはあり、元々不自然な物に対してでも、自然さを見いだすこともある。

 ただ、文化が飛び出たような風景は逆にまた不自然に見えるのは、雑多な他ジャンルのものが、ごったまぜになった風景のほうが、だらしないことで自然さを感じるからだ。作らないと言うことが自然さの秘訣かもしれないが、作ってしまうのも、また文化的自然である。