川崎フォトエッセイ  その510  間口奥行き      HOME

 奥行きのないものを見るとほっとするのは、文字通り奥がないためだろう。ただし裏はあるかもしれない。

 奥深さは、ある意味でプレッシャーを与える。ある深さに達している対象と自分とを見比べるためだろうか。

 何でもないものに対しては安らぎに似たものを感じる。それは決して積極的な快感ではないものの、気持ちよく横なぜしてくれる。

 深く濃いものの持つ閉鎖感から解放されたいと願う気持ちがあるのかもしれない。飛び抜けた才能の持ち主ほど孤独である。

 間口も狭く奥行きも浅い世界は、平々凡々としているが、興味のないジャンルに対しては、誰もがその程度の距離感しか持っていないのではないだろうか。

 ポイントを異にすると、認識も違ってくる。どのレールの上での話なのかがわからなくなる。その種の取り違えで人はトラブル。