川崎フォトエッセイ  その533        HOME

 実際の狸を見る機会よりも、置物の狸を見ることのほうが多い。そのため、狸のイメージは置物に化けている。

 動物園で、本当の狸を見ても、気づかないかもしれない。それほどかけ離れた存在になっているのだ。

 実像の持っているあるイメージを抜き出して形にすることは多い。そのほうがわかりやすいこともあるし、また利用しやすい。

 ある動物の中に、人間の持つある種の人柄を見いだすことは間々ある。この種の象徴の切り取りは、太古の昔から行われている。

 特出したものを持っている人は、そのイメージが全面に出すぎて、それ以外のものの影が薄くなる。ある面は非常に特徴があるのだが、それは一面だけで、他の多くの面は平凡この上ないこともある。

 人をある特色だけの切り方でくくってしまうのは危険だし、また失礼なことだろう。