川崎フォトエッセイ  その546  視点の塗り替え      HOME

 古い建物でも、それが現役で、今も使われている場合、それは同じ時代を生きていることになる。

 新しい建物と、古い建物とは若い人とお年寄りの関係にも若干当てはまる。今の時代をどの視点から見るかによって、新しくもなれば古くもなるし、その差も消えてしまうこともある。

 犬猫やスズメやカラスから見れば、単に人が蠢いているとしか思えないだろう。視点によるこの種の世界の塗り替えは、同じ人でも複数の位置から見るため、気分や状況によって視点は塗り替えられていくものだ。

「自分はこうである」という自覚や宣言も流動的で、むしろその意味づけを必要とするのは、任意の影響への対処方法かもしれない。

 古い建物でも、多くの人々の視線を受けることによって、新しい今に様変わりしていく。機能している限り、それは今の出来事であり、古さは平等にやってくる。