川崎フォトエッセイ  その548  任意の世界      HOME

 視野を狭めると、世界が任意になる。よけいなものを省くことによって、自分の望む世界となるが、それは個人による任意の切り取りだけに、リアルなものではない。

 人の頭の中で起こる現象は、起こったことはリアルであり、また、動かしがたい現実なのだが、それを他の人が共有しているわけではないだけに、任意の一点であることを認識するほうが好ましい。

 個人の頭の中では、疑似現実も、現実ではあるものの、それが世間一般で通じる現実ではないので、どうしてもずれが生まれる。

 現実的なものと幻想的なものとの垣根は、曖昧である。幻想的なものに現実を見いだすこともあるし、現実的なものに幻想を見いだすこともある。

 僕らは自分の都合で世界を切り取ろうとする。他人の都合を考慮することを忘れると、思わぬところで、世間からのしっぺ返しを食らうことになる。