川崎フォトエッセイ  その606  止まる      HOME

 最初の目的とは異なる使われ方になってしまうものがある。既にそのものの機能が終わってしまい、そのものが目的としていた事柄が果たせない状態になっていると、扱い方を変えなければならない。

 たとえば私有地に止められている自動車を、初めて見た場合は、駐車しているように見える。まさか動かないクルマだとは思わない。それに、注意深く観察しないと「生きているクルマ」として、見過ごしてしまうだろう。

 ところが、よくその前を通っており、それとなくそのクルマを見ているうちに「死んでいるクルマ」であることが分かってくると、見るレベルも変わってくる。

 これは人にも言えることで、ある団体に常に参加している人の中で、名簿に名前があるだけで、活動していないメンバーがいる。

 個々の事情は、しばらく様子や動きを見ないと、現実が見えてこない。動きが止まった状態で、じっとそこにいるのは、何となく不気味ではあるが。