川崎フォトエッセイ  その627  花見      HOME

 桜の花は目立つ。草花に比べ上背のある木なので、咲くと派手に感じるのだろうか。

 文化的な暦とは違い、桜の開花は自然現象で、暦上での春と、本当に肌で感じる春とではずれがある。桜の感じる温度と、人が感じる温度は、ほぼ同じだろう。

 その土地で、桜が咲き、そして散るのは、ほんの僅かな日数である。季節感がわかりにくくなったこの時代でも、桜は健在で、まだまだ派手な知らせ方をしてくれる。

 菜の花やレンゲやタンポポも、春を知らせてくれるが、桜ほどには目立たない。田園地帯でないと見ることが出来ない花に比べ、桜は都心のど真ん中でも咲いている。それは草と木の相違だろう。

 花見のため外出し、花を見るよりも、他の目的で、ある場所へ行き、そこで偶然見つけることもある。こちらから寄っていくのではなく、向こうからやって来たような感じとなる。こちらの事情とは関係なく、桜は咲いている。