川崎フォトエッセイ  その646  高さの概念      HOME

 ビル内の廊下などにあるエレベーターは、どの階のものも同じに見える。地下鉄の駅と似ていて、駅名を読みとらないとどこの駅なのかが分からない。

 エレベーターの場合、階を表す数字だけが頼りで、ビルの高さも階数を読みとることで知ったりもする。

 エレベーターは上下の階を移動するが、その速度は待ち時間か、階数表示ランプの移動でしか把握できない。これは階段での上り下りを基準にしてしまうからだろう。

 高さの概念は、階段では上り下りの運動量として身体に予測させるものがある。つまり、その距離を実際に体を使って移動するので、疲労度として予感できるわけだ。

 ところがエレベーターの場合、二階も二十階も、肉体的な疲労度はさほど変わらない。それだけに高い場所にいることは、窓から外を見なければ、実感できないのではないだろうか。