川崎フォトエッセイ  その688  あの世      HOME

 この世のことも不確かだが、あの世のことはもっと不確かだ。この世が不確かだからこそあの世の存在もリアリティが与えられるのかもしれない。

 この世を確認できるのは、自分の意識でしかない。しかし、この意識は他の人とも共通することが多いため、自分だけが思っている世界というわけではない。おそらく他の人も、それに似た意識状態だと推測できる。

 それもまた推測なのだが、生きていく上で支障がなければ、問題はない。

 あの世の存在は、この世の人が誰でも認識できる世界ではない。一体の仏像は、誰もが見ることが出来るこの世の物である。それと同じような見え方で、あの世を見るわけにはいかない。

 あの世が存在しているかどうかは、あの世へ行ってみないと分からない。しかし太古からあの世の存在は認識されており、今日もそれは続いている。あの世というシステムが、生きている人間には必要な場合があり続けるためだろう。