川崎フォトエッセイ  その696  開花      HOME

 花は形よりも、色のほうが目立つことが多い。昆虫とかが発見しやすいように、色で信号を送っているのだろうか。目立つと言うことは、積極的に働きかけていることでもある。

 年中咲いている花よりも、ある季節、ほんの一瞬だけ咲く花は、貴重な感じがする。花の儚さと、人の持つ精神的肉体的儚さも、そこから見出されたのかもしれない。

 人は一生の間に、花の時期が誰にでも訪れるという。問題は、その時期ではなく、そのあとの時期をどう過ごすかになる。

 自分としては、これで精一杯咲いている状態なのに、あまり目立たないこともある。それ以前に、誰も見ていないこともあり得る。

 肉体的な開花とは別に、精神的な開花は、老年になって花開くこともある。人は誰もその種の蕾のようなものを持っており、その気になれば、花咲かすことは可能だ。