川崎フォトエッセイ  その706  調べない       HOME

 偶然立ち寄った場所で見る風景は、自分が見出したような気持ちになる。その場所が、既に観光地として有名であったとしてもだ。

 最初から見出されているものに対しては、予測された充実感はあるが、予備知識がフィルターとなり、率直な見方をしていないこともある。

 詳細を知らないで、触れるより、知っていたほうがはるかに充実することのほうが多いが、その場所やものに対して興味を最初から抱いていない場合、調べようとする気は起こらないだろう。逆に、その程度のものかと思い、行かないかもしれない。

 その観光地が、売り物にしているものを、必ずしも見るわけではない。観光地の何かを見ているのだ。それは自分との繋がりや、個人的な情緒の糸で、紡いだものかもしれない。

 少なくても、観光地では、リアルな日々から離れた境地に乗せてくれるため、データ的なことより、気分的な時間と空間を満喫するほうが重要だ。