川崎フォトエッセイ  その707  理想郷       HOME

 人は誰でも事情を背負っている。それは外形から見えることもあるし、隠されていることもある。

 多くの事情は隠されているというより、見えないものだ。ただ、今の状態にそれが現れているだけで、どの事情が、今のどの現象となっているかの関連性もわかりにくい。

 リアルというのは、そんなもので、常に時間の先端にあり、考えようが考えまいが、時は過ぎていく。

 町が背負っている事情も、通りがかりの人間からすれば、外見のイメージでしか推し量れない。その外見が必ずしも町の事情と同寸ではないところにリアルの真骨頂がある。

 外見が古いからと言って、中身まで古いわけではない。しかし、その古さがもっと近代的な町に住む人達の理想であったりもする。

 いにしえへも未来になる。それはイメージとしての理想郷ではあるが。