川崎フォトエッセイ  その738  バケツ       HOME
 バケツは道具である。道具は何かをするためのもので、使わないときは意味をなさない。

 水や土を運ぶとき、道具がなければ手のひらに乗せて運ぶ。それで用が足りる量なら問題はない。

 手のひらだけでは手に負えないときは、それなりの大きさの容器を使う。バケツは人間が片手で持って歩ける限界に近い容器で、それ以上量の多い物を運ぶとなると、車輪が付いている容器が必要になる。

 バケツに入れられる重さは人にとっては手頃で、バケツそのものも手軽である。

 バケツで運べるレベルは、他人の手伝いを必要としないので、一人で用が足せる。

 人の手のひらの延長としてみた場合、バケツがその限界で、肉体の延長のような感じがまだ分かる範囲だ。

 道具は肉体の延長なのだが、機械化が進むと、別のものになってしまう。規模が大きくなるに従い、動物としての人間から遠ざかる。