川崎フォトエッセイ  その739  隠しメッセージ       HOME
 会話には独自の世界がある。二人で話す世界は、異世界の話ではないものの、独自の関係から紡ぎ出される世界である。

 同じ人でも違う相手と会話すれば、その内容も、世界も、違ったものになるはずだ。それが同じ内容のものでも、語り方や語るポイントが違うためである。

 会話の世界は、語られている内容を伝え合うだけではなく、隠されたメッセージがあるようにも思える。

 隠されたメッセージは、語る内容に添付されているのだが、伝わるかどうかは分からない。

 ありきたりで、価値がほとんどない情報のやりとりでも、二人の関係によって、それは大きな意味を持つことになる。会話をしているだけでも、十分価値がある関係では、その内容は問われない。

 隠されたメッセージは外部からでは伺い知れない。それが難しい話でも、易しい話でも、語る以前の源泉が見えないためだ。