川崎フォトエッセイ  その740  在るもの       HOME
 風景は共有されている。個人によって見え方や感じ方は違うが、同じものがそこにある。

 空がある。それは否定できない。空が見えているのに、見えていないとは言えない。そこに花があり、それも見えないとは言えない。在るものは在る。それは動かしがたい事実で、実際の現実である。

 遠くに家並みが見え、その中の一軒の家については、見えていても、認識していないことがある。家並みとしては見えているのだが、その先の階層になると、漠然としている。

 雲があったかどうか、どんな色の空だったのかまでは、認識していないこともある。花が見えていても、花びらの数までは知らないこともある。

 確かに現実として、実際にそこに何かがあり、名付けることが出来るものが多数在るのだが、頭に入ってこないのである。

 だからといって、そこに存在しないわけではない。