川崎フォトエッセイ  その752  流行らない風土       HOME

 日本家屋を見ていると落ち着くのは、この国の風土と合致しているためかもしれない。しかし、日本は南北に長いため、北と南とでは風土が違う。同じ本州でも西と東、日本海側と太平洋側とは違うし、山岳部でも違ってくる。当然沖縄と北海道とは同じ風土ではあり得ない。

 古くから、日本の文化は畿内が中心で、その風土で形式化したものを風土の違う場所にも持っていこうとしていたようだ。

 これは、同じ文化圏に所属する、ある政権のシンボルのようなもので、その文化形式に従うことが、政権にとって、統一感となるためだろう。また地方は、同じ形式を踏むことで、従属の証とするような感じだ。

 今は、はっきりとした形で、その種の文化様式が日本を覆っているわけではない。新しく建つ建物は、何でも有りでもかまわない。ただ、そこに見えない流行があり、その時期その時期の事情が反映している。