川崎フォトエッセイ  その759  ざるそば       HOME

 夏場とか、食欲がないとき、ざるそばは重宝する。その日の一食を、ざるそばだけでは栄養的バランスとかが問題になるかもしれないが、それ以前に、何も食べる気が起こらないより、食べる気になるだけでもましである。

 一食抜くか抜かないかの問題で、少なくとも抜かないで、食べることができたことの意味は大きい。

 食べ物は、食欲がある状態で語られている。食欲があるときは、ほとんどのものを食べることができるし、しかもおいしい。だが、食欲のない状態での食べ物は、それほど語られない。それは食べ物が限られてくるためだろう。

 ざるそばや、冷やし素麺は、ごちゃごちゃしすぎると、かろうじてわき出た食欲さえも、失うことになりかねない。

 意外と、単純なものが、単純な形で売っていないのは、作る側が芸をしすぎるためだろう。