その790 　遠くの我が家　 　 　 　HOME

　人にとって「我が家」のイメージは様々だ。世代や職業や場所や風土によっても異なるからだ。

　大概の場合、その人が生まれ育った家が「我が家」の基準になることがある。慣れ親しみ、見慣れた建物や空間であると同時に自分の居場所として、当たり前のような存在として「我が家」はあるのだが、物心がつきはじめると、他の家と比べ出す。

「我が家」の事情、家庭の事情がわかりだすと、自分の存在もわかりだす。

　それらは、デフォルトとして与えられたものであり、最初からある環境でもある。

　さらに大人になると、自分で「我が家」を持つようになる。そのときは、最初の「我が家」とは時代的に変わってきているので、似たような家に住むとは限らないし、最初の「我が家」からできるだけ遠いイメージの「我が家」を作るかもしれない。

　そんなとき、遠くの我が家が、妙に懐かしく思えることがあるはずだ。