川崎フォトエッセイ  その799  わかる       HOME

 世の中にはわかりにくいものがある。というより、ほとんどの現象はわかりにくいもので、わかっていることはほんの少しである。

 同じものでも、見せ方や説明の仕方や、そのときの関係によって、形相が違ってくる。

 僕らはわかっていると思っているもの、つまり慣れた見え方をしているものに沿って理解のレールを走らせている。

 理解方法は方便で、そのものがわかるのではなく、わかり方がわかる程度だ。理解しようとする実体そのものは、実際にはわからない。

 だが、自分にとって納得できるわかり方があり、そのレベルが日常レベルとなる。それ以上の展開は、日常からかけ離れる。

 日常は自分にとっての常態であり、これはまちまちだ。人が他人と本当の意味で分かり合えないのは、常態が違うからである。しかし、それは致命的ではなく、その違いが理解度を深める。