川崎フォトエッセイ  その808  日常絵画       HOME

 物がはっきりとしている物でも、抽象的なイメージを受けることがある。本来の物、具象のイメージではなく、それらが織りなす抽象画的見立ては、見る側の意欲に関わるようだ。

 ただの抽象は、味気ない。無機的でクリアなのだが、見る側が情を乗せにくい。現実との引っかかりがないため、滑るのだ。

 幾何学的世界は、現実にはない世界である。こちらが歩み寄っても引っかかりがない。数字の世界と同じだ。普遍性はあるが、そこに「具」がない。と、なると、リアルで関わることはできない。

 それが現実に存在する具象なら、現実の変化をすべて受ける。固定した存在ではない。

 具象の中に見出される抽象画的存在は、発見する楽しさがある。

 展覧会へ行かなくても、日常の中に、あらゆるジャンルの絵画が埋め込まれている。おそらく画家たちも、それを掘り起こしてきたのだろう。