川崎フォトエッセイ  その809  野生の野性       HOME

 野性は何処にでも潜んでいる。野性は押さえつけることはできるが、少しでも隙間があればアクティブとなる。

 人は野性を取り込み、文化としてパッケージ化した。流通に乗る野性だ。文化は一種の去勢であり、野性が生み出す副産物を有効に使うための方便だ。

 しかし「文化」という皮一枚の下は野性であふれている。むしろメインは野性であり、文化はその制御装置である。

 野性のエネルギーを欠いた人でも、文化という制御装置には魅力を感じるはずだ。それは動物的な野性ではなく、意味としての野性だ。

 野性的魅力やエネルギーを欠いた人でも、その装置を牛耳れる。文化は肉体的、精神的弱者を生かせる。文化がありがたいのは動物的弱者であってもボス猿になれることだ。

 文化的野性は学習された本能だ。文化が複雑になり、野性の出し場所が巧妙になればなるほど、単純な野性を求めたくなるようだ。