川崎フォトエッセイ  その815  不自然劇       HOME

 あぜ道がいつの間にか舗装道路となり、田圃に水を引き込む小川も、コンクリートの水路となっている。

 住宅地にある水田は、まるでプールのようだ。それ以前は池のような感じだったのかもしれない。

 景観は時代の偶然の成り行きで作られていく。そのため、物と物との組み合わせも、ぎくしゃくすることが多い。

 それがリアリズムの真骨頂で、思わぬ組み合わせが発生し、ドラマを感じさせることもある。

 劇的なものは、人がそう感じてしまうもので、一種の刺激的事柄である。自然は人にそれを感じてもらうように仕掛けているわけではなく、人が勝手に受け止めているだけのことでしかない。

 人が作った劇的偶然は、不自然なものだが、人の営みにとっては自然とそうなることもあり得る。この場合、劇としては「おかしみ」が加わる。